創業時の作業場

2006年に我が工房は創業しました。写真は創業当時のものです。 当時は一応の工具を揃えるだけのお金しかなく、工房の場所は実家の下のポンカン畑 のとなり。 単管を組んだ上にブルーシートを掛けただけの作りで、雨が降れば電動工具が 濡れないように注意しながら、石の削り粉は扇風機で吹き飛ばすといった状態 で、いい加減なものではありました


2代目の工房

少し経費が出てきたので、元々所有していた土地にリースのプレハブを置いて、その横が作業場になっています。
作業場自体は、相変わらず工事用の単管にブルーシートと土木工事用のエンジンコンプレッサーのままです。


作業台はみかんのコンテナを重ねたままで、作業はもっぱら地べたに座って行っていました。
非常に適当に思えますが、それでも石臼は完成出来る設備ではありました。


3代目の工房

リースのプレハブに来客がある事は全く無かったので、返却し新たに中古のプレハブを購入し、その横に作業小屋を自作しました。
この時点でようやく雨の日の作業や、夜間の作業が出来るようになり製作が計画的に進むようになりました。


現在の工房

こちらが2015年7月に完成した自宅の庭の隅の工房です。
写真では軽トラの右横の簡素な板張りの建物が工房で、軽トラの後ろの大きな倉庫は営農組合です。
広さは畳4枚分しかありませんが、手で持てる範囲の石材の加工には十分なスペースがあり、不自由は感じません。
何事も必要十分な範囲で行う事を旨としているため、と、最小限の建材で済むように自作しました。
本人は2坪の工房から日本中に石臼を広めていくロマンを感じております。


作業台です。
回転台の上にあるのは、カレドニアの上臼の製作途中品です。
必要な穴を最初に開けてから、外周をコンパスで引いた線に沿って切ったり削ったりしながら円柱に仕上げていきます。
この後、側面に16角の割付けをします。
奥に見えるのは、加工時に出る石の粉を吸い出してくれる60pの換気扇です。


作業台の奥の換気扇は外部の自作の集塵装置につながっていて、この装置でほぼ石の粉を回収します。
完全に石の粉を捕まえる事は出来ませんが、専用の200ボルトで動く集塵機をいろいろな理由で設置出来ないので 現状はこの装置に頼っています。


集塵装置のフタのコンパネを開けると、カンレイシャ(日よけに使う黒い網のような物)でいくつかの部屋に区切ってあります。
石の粉を含んだ風がこのカンレイシャの中を通過する時に石の粉がカンレイシャに捕まる原理です。
乾いてしまうと粉が付きにくくなるので、作業中に何度もフタを開けてカンレイシャに水を掛けて濡らします。 そうすると捕まっていた石の粉が水に流されて、その下の沈殿槽に溜まる仕掛けです。


石を切ったり削ったりする道具「サンダー」は16本程を常時使います。
ダイヤモンド工具は一度サンダーから外し、付け替えると「芯ブレ」(ミクロの精度で中心がズレて外周が楕円の回転をしてしまう事) を起こしてしまうので、新品から摩耗で交換するまで1台のサンダーから付け替える事は出来ません。
そのためダイヤモンド工具の数だけサンダーが必要になります。ちなみに石材加工ではサンダーは酷使するために日立工機の製品 を使っていますが、1台1万円以上いたします。


動力の200ボルトは契約をしていないので、エアーコンプレッサーは家庭用電源の100ボルトを設置しています。
エアーポリッシャー(圧縮空気で回転する石を磨く工具)は使用していないので、作業中に石の粉を吹き飛ばすエアーガン程度の 使い方では問題はありません。 このコンプレッサーは中国製の安物でしたが、オイル交換をきちんとやった結果、幸いにも7,8年故障もなく動いてくれています。


後ろ半分は「磨きのスペース」と「穴掘り」のスペースです。


これは電動のポリッシャーです。
他の石材店では、大型のコンプレッサーを設置してそのエアーで回転させるエアーポリッシャーを使っていますが、私はコンプレッサーが小さすぎるので 電動を使っています。
違いは、回転速度が少し遅い事と本体が重い事ですが、我慢強く使えばエアーでも電動でも結果は同じです。


ポリッシャーの先端に取り付ける「研磨盤」です。
粗い研磨から仕上げの研磨まで #150 #300 #500 #1000 #2000 #3000 バフ 以上7種類を順番に付け替えながら磨き上げます。 対象面全体を漏れなく磨いているか?重複して無駄に磨いていないか?熟練するまでには、相当の年月が掛かる作業で最終仕上がり の良し悪しが決定します。


「物入れの穴」や「取って棒を突っ込む穴」は石材専用の穴あけ機械は大型なので使用せず、土木工事用の「コアドリル」を設置しています。 先端ビットも「石材用」ではなく「コンクリート用」ですが、問題なく石材にも穴を掘る事は出来ます。 専用の設置台は自作してあります。


中心軸用の穴は精度が必要なために、コアドリルではなく市販のボール盤を使って開けています。
先端ビットは8mmや10mmを水を掛けながら使います。


かくして

実家のポンカン畑の中から始まった「石工房吉田」はようやく 落ち着いてスムーズに作業が出来る工房へと進化しました。
直接の来客は無いので「看板」の設置はなく、実際の商品も見える所には置いていないので なんの小屋なのか見ても分からない状態です。
結果として、近所や地元の天草、まして熊本県でもまったくの無名状態であります。

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