石臼に使用する石材の違い

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石臼に使用する石材の違いによる石臼の性格の違いに付いて

私は「花崗岩」を使用して石臼を製作しております。
花崗岩とはマグマが地表に出ることなくゆっくり冷やされて固まったものだと 地学の授業で教わった記憶があるのですが、石材としては「御影石」(みかげいし)と呼ばれ、 主に墓石や外壁材、床材等に利用されています。
その特徴は、緻密で非常に硬く研磨すると光沢がでますが、その硬さのために切断、切削には 工業用ダイヤモンドの粉末と支持材を固めた刃先を付けた専用の工具を使用します。
使用する石ノミも先端に真鍮で保持された特殊鋼のついた専用のものを使用します。
石臼での使用の利点は摩耗に非常に強い事と、同じ体積の場合他の石材に比べ重い事の2点が特徴となります。
花崗岩にも色の違いや粒子の大きさ(結晶の大きさ)などで色々な種類がありますので 一概には言えませんが、石臼としての利用に一番最適な石材と思われます。
実際に石臼を製作する場合、挽けの性格に石材の色は関係ありませんが、粒子の大きさは「目切り」の段階で影響します。
粒子は小さいほうが細かい加工が容易になり、その粒子が大きくなると、それにつれてもろくなります。
具体的には粒子が小さいと石臼の目とは凸凹の繰り返しですが、極小の加工も可能で、逆に粒子が大きいと極小の加工は 石材がボロボロとかげてしまい、非常に難しくなります。
私の使用している石材では粒子の小さいものの代表が「黒御影石」で粒子の大きなものは有名な「徳山御影石」あたりです。

黒御影石


徳山御影石


どちらも出来上がった石臼としては実用上何の違いもないのですが、加工技術的にはかなり違います。

栖本石


地元天草市栖本町産出の「栖本石」も使用していますが、これはマグマが地表に噴出して固まったとされる「安山岩」になります。
粒子は小さく、割れにくく加工が比較的やり易いために最近までの石臼の材料でした。
昔はダイヤモンドの切断工具や特殊鋼などなく、鋼の石ノミで叩いて加工していたようですが、加工が容易な分柔らかく摩耗に対して 弱いといった欠点があります。
昭和の初期までは、道具一式を自転車に積み、各家々をまわる石臼の目立て職人がおられたそうです。

下浦石


地元天草市下浦町産出の「下浦石」。
こちらは砂岩になります。細かな砂が圧力で固まった石材です。
「栖本石」よりも柔らかく加工が非常に容易な事と豊富に取れた事で、現在「飛び石」や「漬物石」として残っている石臼はほとんど この「下浦石」です。
利点は、ほぼ無尽蔵に取れる事と加工の容易な事で、近年は厚さ3pにスライスして歩道の張り石等に利用される事もあります。
(長崎へも輸送されオランダ坂やその他多くの場所に張り石として利用されていた経緯もあります)
欠点は何といっても摩耗に非常に弱く、石臼の材料としては不向きですが、安価な事等で多く作らて普及したと思われます。
ちなみに、この特徴を利用して砥石としての利用もあったようです。
さらに鉄分を多く含むため雨水等で酸化し黒く変色します。
風化にも弱く層状に剥がれてしまったり、角が無くなったりします。
「鳥居」や「地蔵」「狛犬」などが加工のしやすさから多く作られていますが、いずれも風化が激しく現在ではそれらは「砂岩」で作られる 事はなく「花崗岩」(御影石)で作られます。
これらの材料で出来たコーヒー石臼での違いをざっと説明いたします。
最初に説明致しますが、コーヒー石臼の場合は「目」が凹だけで出来ているため、上臼と下臼の接触は平面で元々摩耗しないようになっています。
石臼に使用する材料石材としての向き不向きを説明します。
耐久性で言うと間違いなく御影石です。多分落として割れたり、ハンマーで叩かない限り永久に使用できます。
栖本石でもコーヒー臼の場合はすり合わせ面にコーヒー豆の油分が張り付き摩耗を防ぐために長期の使用でも問題ないと思いますが 永久にとまでは言えません。
下浦石でも製作した事がありますが、まずいくら磨いても光沢が出ない、摺り合わせ面に付いた油分で摩耗はしないような感じはしますが 自信がない等の理由でその後は使用していません。
次に「御影石の種類」と「その他の石材」でのコーヒー豆との相性の件ですが、、
最近、この使用する石材でのコーヒーの違いのご質問が多くありますが説明が非常に難しくなります。
「花崗岩」と「安山岩」等の石材の硬さによる挽ける粉の違いですが、研究所に分析を依頼した事はありませんが多分同じとお考え下さい。
次に同じ「御影石」での粒子の違い(結晶の大きさの違い)による挽きの違いですが、粒子の小さい「黒御影石」を使用した場合の挽きは若干 シャープになるような気がします。
あくまで挽く音と手ごたえで私がそう感じるだけで黒御影石の場合のみ挽ける粉の状態がどう変化しているのか断言は出来ません。
確実に言えるのは、具体的にコーヒー臼には幅1分の三角溝を掘るのですが、黒御影石の場合はそこを正確に仕上げる事が出来ます。
粒子の大きい(結晶の大きい)「徳山御影石」の場合は幅1分の溝がその結晶がかげやすくなっているために、使用する工具の刃先を最大限に研ぐ 必要があるため少し面倒な作業になります。
どちらも最後は同じ「目」に仕上げますので、挽きの具合は同じになりますが、作りてとしては粒子の小さい「黒御影石」のほうがシャープに挽ける ような気がするだけだと思いますが、それが抽出されたコーヒーにどう影響するのかは判りません。
基本的に私は石材を加工研磨するのが仕事で、コーヒーに付いての知識考察は大してありませんので「使用する石材とそれで挽いた粉から抽出した珈琲の違い」 が判るはずもないのですが、、、、

石臼とは関係ありませんが、ついでに地元天草市で取れる、火山灰が凝固した「御領石」(灰石)

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